症状改善報告
有痛性外脛骨はインソール・テーピング必要なし、10回で歩けない程の痛みが消える
- 有痛性外脛骨炎
症例報告
Top Member丸山
「患者」
女子、10歳、小学生
「症状」
有痛性外脛骨
「来院日」
平成29年 12月下旬
「来院経緯」
患者は小学校低学年からキッズトライアスロンを始める。
症状の発症は2ヶ月前。
トライアスロンの練習で持久走(ラン)をしている際、右足の土踏まずにズキッとした痛みが走る。
その痛みは一過性で、次の瞬間には痛みは消えていた。
患者は少し気にはなったものの練習を続け、その日を終える。
翌週の練習で同じメニューを行っていると、以前と同じ個所に痛みが走った。
先週同様すぐに痛みが引くと思われたが、時間がたっても痛みは全く緩和せず。
それどころか持久走(ラン)を続けていると、だんだんと痛みが増していき、練習後は足を引きずる程であった。
患者の両親はその様子を見て、すぐに病院に向かう。
整形外科を受診し、足のレントゲンを撮影。
レントゲンから『有痛性外脛骨』と診断を受ける。
医師からは「インソールを作り、6ヶ月間着用するように。6ヶ月後も痛みが出ているようなら手術の必要がある。」との所見。
病院で足型を取ってもらい、オーダーメイドのインソールを作成。
患者はインソールを常時着用するようにした。
インソールを着用してトライアスロンの練習を行ったが、慣れないインソールを付けることで走りにくさを感じてしまい、痛みがより強くなってしまった。
持久走(ラン)で特に強く痛みが現れるものの、その他の種目である自転車(バイク)、水泳(スイム)では痛みが出ることはなかった。
学校の体育などで軽く走る分には有痛性外脛骨の痛みは出ず、ダッシュや反復練習(200m走×5回など)を行うと、すぐに痛みが出てしまい走れなくなる。
加えて、長距離の歩行をすると足を引きずる程の痛みも出るようになった。
5月にキッズトライアスロンの大会と自然学校(ウォークラリーをする予定)を控えており、「このままではどちらも参加出来ないのではないか」と患者は危惧。
病院ではインソールの6ヶ月間の着用を指示されたが、この状況では治る確証もなく、他の治療法について検討する。
近所で有名な整骨院を受診。
治療者から「期間をかければ治る。だが約1ヶ月は運動をせず、安静にする必要がある。」との所見。
患者はそれに同意し、数回通院する。
しかし症状は一向に改善せず、数回治療した後も痛みは増すばかりであった。
患者の両親は『有痛性外脛骨』の治療に特化した治療院をWeb上で検索。
当院のHPにたどり着き、遠方ではあるが治療実績や口コミを見て来院を決意。
「治療経過」
1診目
現在、患者は有痛性外脛骨の痛みを我慢しながら運動を続けているとのこと。
持久走(ラン)の練習が特に痛く、痛みが強くなると練習を中断し、痛みが引くと練習を再開しているという。
触診と検査を行う。
写真の赤〇の箇所に骨の隆起(右>左)を確認。
骨の隆起を触診すると、患者は痛みを訴えた(写真赤×参考)
施術室内で走ってもらったところ、痛みは再現されず。
ジャンプをした時に違和感程度の痛みを訴えた。
患者によると、長距離の歩行もしくは走行を行うと痛みがだんだんと出てくるようで、短い距離を走ってもそこまで痛みは出ないという。
触診と問診から『有痛性外脛骨』と判断。
患者の要望は5月までに痛みを取りたいとの事であり、私の経験上それは可能であると判断。
そのためには詰めて通院する必要があることを患者に説明。
今は冬休みで詰めて来院できるが、学校が始まると休日しか来院は出来ないとのこと。
この話をふまえ冬休み中は詰めて来院し、その後は毎週土曜日に来院するという事で合意。
加えて、病院で作成したインソールの着用は控える事を伝えた。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
下腿アライメント調整、足関節アライメント調整、舟状骨調整
治療後、ジャンプをした時の違和感程度の痛みが消失。
施術室内では長距離で現れる痛みが再現できないので、次回の来院日までにそれを観察するように指示し、1診目終了。
2診目
前回から3日後の来院。
患者から「昨日は練習日だった。今までは200m×5本で強い痛みがあったが、それは問題なく走れた。ただ、練習後半になってくると痛みが出てきた。」との報告。
昨日の練習で、持久走(ラン)の練習を行い、練習の前半は痛みが出なかったとのこと。
しかし、練習の後半になってくると痛みが出たようだ。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
下腿アライメント調整、足関節アライメント調整、舟状骨調整、腸腰筋調整
治療後、有痛性外脛骨の周辺を触診。
初診時に比べ、圧痛の程度が減少。
次回も早めに来院するように指示し、治療終了。
3診目
前回から7日後の来院。
患者から「まだ練習後半になると痛みが出てくる。でも、今まで酷い時は練習後に足を引きずる程だったのに、それが最近はなくなった。」との報告。
持久走(ラン)の練習でまだ外脛骨の痛みが出るようだが、練習後まで痛みが続くことはなくなったようだ。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
下腿アライメント調整、足関節アライメント調整、舟状骨調整、
腸腰筋調整、下肢血流調整
治療後、外脛骨の圧痛を確認したところ以前に比べその範囲が狭くなっている事が判明。
次回も1週間後に来院するように指示し、治療終了。
5診目
患者から「遠足で長距離を歩いたが、外脛骨の痛みは全然でなかった。最近はトライアスロンの練習で痛くなるのは右側だけで、左はもう痛くない。」との報告。
患者は学校の遠足で朝から夕方まで歩き通しだったようだが、外脛骨の痛みはなく問題なく過ごせたそうだ。
持久走(ラン)の練習では右側の外脛骨だけに痛みが出るとのこと。
痛みを訴えている右側を触診したが、圧痛はほとんど感じないという。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、下腿アライメント調整、足関節アライメント調整、舟状骨調整
現状は施術室内で再現できる痛みがないので、患者には練習中の痛みを観察するように指示し、治療終了。
7診目
患者から「最近はトライアスロンの練習をしてもほとんど痛みはない。ダッシュで何本も走る時にたまに痛みが出る。」とのこと。
最近ではトライアスロンの練習量が増えてきて、練習をした後に違和感程度の痛みが出ることがあるようだ。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、下腿アライメント調整、足関節アライメント調整、舟状骨調整
治療後、有痛性外脛骨の圧痛はすべて消失。
次回も1週間後に来院するように指示し、治療終了。
10診目
患者から「外脛骨の痛みは全く感じない。問題なく運動出来ている。」との報告。
有痛性外脛骨の痛みは全くないようだ。
ダッシュを何本も走っても痛まず、長距離の歩行でも問題ないとのこと。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、下腿アライメント調整、足関節アライメント調整、舟状骨調整
今回で有痛性外脛骨の治療を終了とし、次回から1ヶ月に1回のメンテナンス期に移行する旨を伝え、施術終了。
「患者さんの口コミ・感想」
Q1、どのような症状でお困りでしたか?
またお困りの症状を治すために、今までどのような治療を受けてこられましたか?
有痛性外脛骨、整形外科での治療。インソール
Q2、鍼灸治療など、当院来院にあたって心配はなかったですか?
またその心配はどうやって解消しましたか?
なし
Q3、当院の施術を受けたときの印象・感想を教えてください。
回数を重ねるごとに痛みが減っていき、とてもうれしかった。
手術をしないといけないと言われていたので、不安でしょうがなかったです。
ありがとうございます。
Q4、症状が改善した現在の想いをメッセージ下さい。担当が最高に喜びます!
しっかりと走れるようになれてうれしかったです。
丸山先生、ありがとうございました。
お名前:A・H
ご住所:兵庫県
ご職業:小学生
「担当からの考察」
今回の患者さんであるA・Hちゃんの場合、手術の必要ありとされた有痛性外脛骨に悩んでいました。
緊急性の必要な手術というわけではなかったようですが、お医者さんから「6ヶ月後に痛みが治まらないのなら、手術の必要あり」と断言されてしまったそうです。
A・Hちゃんは整形外科に通院や整骨院で治療したそうですが、有痛性外脛骨の痛みは一向に治まりませんでした。
この時のA・Hちゃんはとても不安だったと思います。
6ヶ月の期限を設けられ、それまでに治らないと手術の選択しかない状況ですから、まだ小学生の幼いA・Hちゃんの気持ちを思うと居たたまれません。
もちろんご両親もとても不安だったでしょう。
初診時には、お母さまから「私がトライアスロンというハードな競技をさせているから、こんな事になってしまったのでしょうか?」という言葉が出るくらい相当に思い詰めている様子でした。
しかし、有痛性外脛骨は私の得意としている疾患で、その完治率は96%です。
A・Hちゃん以上に重症の有痛性外脛骨の子達を治してきた私としては、今回も絶対に治せる自信がありました。
有痛性外脛骨の痛みは完全に取りきれる事、この症状はいわゆる成長痛なので、トライアスロンだから発症したという事ではなく、他のスポーツをしていたとしても発症していたであろう事、をご両親に説明しました。
トライアスロンの大会と自然学校が5月にあるという事なので、それに照準を合わせて治療を行いました。
お家が遠方でなかなか詰めて来院することは難しいなか、毎週土曜日は必ず予約を取り通院してくれた結果、計10回・約3ヶ月で完治に至りました。
A・Hちゃんが「走るのが全然痛くない!思いっきり走れて嬉しい!」と言ってくれた時は、私も一緒に喜んだことを今でも鮮明に覚えています。
A・Hちゃん、本当に良かったね!(^^)!
これからはトライアスロンを思いっきり頑張ってね♪
それでは治療の考察に移ります。
病院で『有痛性外脛骨』と診断された場合、以下の3つのどれかを指示される事がほとんどです。
1、インソールの着用
2、安静またはタオルギャザーなどの体操を行う
3、手術をする
A・Hちゃんも「1」と「2」を病院で勧められていました。
ずばり言うと、この3つを行ってもほとんどの有痛性外脛骨は治らないです。
まずインソールについてですが、インソールの役目は足のアーチを作る事を目的としています。
というのも偏平足の子(足のアーチがない)に外脛骨が多く発症していると考えられているからです。
インソールを着用することで偏平足を矯正し、外脛骨を治していこうとする考えです。
でも、偏平足が原因で有痛性外脛骨が起こっているのではないとしたら?
私の感覚として9割以上の子が偏平足以外の理由で痛みが出ています。
そんな子供たちに偏平足を治すためのインソールを行っても意味がないですし、痛みが悪化してしまう例も多くあります。
次に安静とタオルギャザーなどの体操についてです。
有痛性外脛骨は成長期に多くみられる疾患で、大人になれば痛みは治まります。
極論を言えば、数年安静にしておけば痛みは取れるでしょう。
しかし数年と言っても2年後なのか5年後なのか、それは人によって異なるのでお医者さんや私たちにも分からないです。
なにより痛みが出ている子供たちからすると、数年間も運動もせずに安静に過ごすなんて考えられないですよね。
安静にしたところで、子供たちにとっては何の解決にもならないのです。
タオルギャザーを勧めなていない理由は簡単です。
この体操は有痛性外脛骨に全く効果がないからです。
次に手術についてです。
私の経験として、お医者さんから「手術が必要」と言われた有痛性外脛骨の子でも問題なく完治する場合がよくあります。
当院に来る有痛性外脛骨のほとんどの子は、病院で「手術の必要あり」とされ、それをどうしても避けたくてやってきます。
そんな状況でも、問題なく改善していく様子を毎日のように見ています。
私の受け持つ患者さんの中に外脛骨の手術を行い、その後遺症に悩んで来院される子が実際にいます。
足の引きつった感覚や長時間の立位で手術した箇所が痛むとのことでした。
有痛性外脛骨を完治させるより、手術後の後遺症を改善させる事の方が余程難しいです。
となると、後遺症のリスクが僅かでもある手術より、当院に通院する方がお子さんにとってはリスクが少ないですよね。
A・Hちゃんも病院でインソールと手術を勧められていましたが、インソールはすぐに着用をやめてもらい、手術をせずとも完治に至りました。
病院で偏平足を理由にインソールを着用するように言われたみたいですが、A・Hちゃんの外脛骨の痛みは偏平足が原因で起こっているものではありませんでした。
根本的な理由は『下腿のねじれ』と『足関節の可動域制限』によるものでした。
これらを丁寧に調整し、身体を良い方向に導くだけで、痛みが自然と取れていったのです。
「有痛性外脛骨だから〇〇を治療する」と考えるのではなく「この子がなぜ外脛骨になってしまったのか?」を考え、その子に応じた治療をしていく必要があるのです。
今回のように手術の必要があると言われた場合でも、私の経験上では意外と何とかなる事が多いのを知っているので、あまり悲観せず私を頼って来て欲しいです^^
最後に、
どこに行っても良くならなかった人こそ「何とかしてあげたい!」という強い想いを持って、私が日々治療に励んでいる事をみなさんに知っておいて頂きたいです。