症状改善報告
2年患った慢性の足底筋膜炎でも完全に痛みを取りきれたその理由とは
- 足底筋膜炎
症例報告
Top Member丸山
「患者」
男性、15歳、中学3年生
「症状」
足裏の痛み(足底筋膜炎)
「来院日」
平成29年 12月中旬
「来院経緯」
患者は陸上部に所属、100mの短距離選手。
発症は2年前。
部活の練習で『片足立ちの状態から屈伸を行い足に負荷をかけていく』という筋トレメニューがあり、それを毎日行っていたところ両足のかかとに痛みが出るようになった。
筋トレの最中だけかかとに痛みが現れ、それ以降の練習では痛みが出ることはなかった。
しかしその筋トレを2、3ヶ月続けていると、かかとの痛みが足裏全体に広がっていった。
次第に筋トレだけでなく、走っている時にも両側の足裏に痛みが出るようになる。
短距離走を何本も走っていると、足裏が硬く張ってきて、足裏全体に腫れと痛みが広がるようになった。
患者は近所の整骨院を受診。
マッサージやストレッチ、鍼治療を施される。
その場では足裏の腫れがなくなったように感じたが、練習で走ると腫れと痛みが再発。
次に、近所で有名な整体院にも何度か通院したが、症状に変化は見られなかった。
整形外科を受診。
レントゲンを撮影したが、骨に異常は見られなかった。
医師からインソールを作る事を提案され、オーダーメイドのインソールを作る。
医師から「練習中はインソールを常に装着した状態で走るように」と指導された。
しかし指導通りにインソールを付けて練習を行ったが、足裏の痛みは一向に改善せず。
それからはどんな治療をしても足裏の痛みは改善せず、患者は治療院や病院に通う事を断念。
発症から2年、患者は中学3年に進級。
走りこむ練習をすると両足裏がパンパンに腫れあがり強い痛みが出るので、走りこむ練習は一切せず、筋トレを中心に練習を行っていた。
そんな状態でも患者は陸上の全国大会に出場し、ジュニアオリンピックにも出場した。
高校がスポーツ推薦で決まり、練習内容も今まで以上に厳しくなる事が予測される中、患者は「この身体の状態では高校の練習に付いていくことが出来ないのではないか。」と危惧の念を抱く。
そんな折、同じ部活の友人が足を痛めた際に奈良の治療院で完治したという話を耳にする。
患者は「高校生になるまでに少しでも足の状態を良くしたい」と思い、友人の口コミを信じて当院に来院することを決意。
治療経過
1診目
患者は両側の足裏(特に左)に痛みを訴えている。
練習のアップの段階で痛みが出るので、この数か月は試合以外ほとんど走っていないとのこと。
患者によると、走っている最中や後は足裏がパンパンに腫れあがり、押すと強い痛みが出る。
足裏が腫れあがると、歩行も困難になるという。
2月中旬から高校の陸上練習が始まるようで、2月までには走れるようになりたいとの要望。
まず患部を触診する。
赤〇の広範囲が痛みを訴えている箇所である。
矢印の箇所を触診すると、明らかに腫脹しているのが分かった。
写真を見ると、視覚的にも盛り上がっているのが分かる。
これは左足の写真だが、右足も同様の状態であった。
腫脹している箇所を強い圧で触ると、患者は痛みを訴えた。
触診と問診から『足底筋膜炎』と判断。
私の今までの経験から完治は可能であるが、患者の要望は「2月までに治したい」との事なので、約2ヶ月間で治す必要がある。
その要望に応えるには、週に2回の施術が必要であると推測。
患者に治療期間の説明をし、同意を得てから治療開始。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、下腿循環調整、アキレス腱調整
治療後、足裏を強い圧で触ったところ、圧痛が減少。
現在、患者は部活は引退し、走る機会がほとんどないとのこと。
走らないと状態確認が行えないので、体育や自主トレで走った時に足の状態を確認するように指示。
次回は4日以内に来院するように指示し、治療終了。
2診目
前回から2日後の来院。
患者から「特に運動をしていないので、改善しているかはあんまり分からない。」との報告。
両側の足裏を触診したところ、前回より筋肉の腫脹が引いているのが確認出来た。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、下腿循環調整、アキレス腱調整、腸脛靭帯弛緩調整
治療後、足裏の圧痛は違和感程度にしか感じなくなったと患者は訴えた。
5診目
患者から「一昨日、体育でサッカーをした。今までサッカーの後は足裏がパンパンに張って痛みが強く出ていた。しかし一昨日はサッカーの後に足が腫れあがる事はなかった。」
患者は授業でサッカーをし、1時間走りっぱなしだったそうであるが、足裏の筋肉が腫れあがることはなかったという。
しかし痛みはやはりあったようだが、今までの痛みよりかなり軽かったとのこと。
痛みは左足に強く出たとの訴え。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、足指アライメント調整、アキレス腱調整、殿筋弛緩調整
治療後、足裏の圧痛は両足とも消失。
今回で治療室内で再現できる痛みがすべて消失したので、患者には日常生活で痛みを観察するように指示。
8診目
患者から「体育の授業で痛みが出ることはほとんどなくなった。自分で足裏を見ると、今までと足の形っが違ってきているのがよく分かる。右足に関しては足裏の筋肉の盛り上がりはほとんどなくなっている。」との報告。
患者は体育で走った時に痛みはほとんど出ないそうあるが、出る時はいつも左足に痛みが出るとのこと。
患者の足裏を触診する。
患者自ら訴えたように、足裏の腫脹はほとんどなくなっている。
写真を見ると分かるように、今まで腫れていたものが引いたので、皮膚がシワシワになっているのが分かる。
右足にそれが顕著に表れている。
左足は体育の時にも痛みが少し出る時があるようで、左足にはまだ腫脹が確認出来、右足に比べ皮膚のシワも少ない。
現在、患者は治療室内で再現できる痛みがない。
今回から治療後の痛みの確認は行わず、治療を進めていく。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、足指アライメント調整、殿筋弛緩調整、腸脛靭帯弛緩調整
12診目
患者から「競技場に行き、スパイクを履いてトレーニングをした。久しぶりにスパイクを履いて、何本も短距離を走ったが、痛みや足裏の腫れはなかった。左足が多少違和感がある程度であった。」との報告。
今まで患者はスパイクを履いて走ると、100m×3本も走れば痛くなって練習を中断していたそうだ。
しかし今回は久しぶりにトレーニングを行ったにもかかわらず、何本走っても痛みはなかったとのこと。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、足指アライメント調整、腸腰筋調整、殿筋弛緩調整
16診目
患者から「高校の陸上トレーニングに参加してきた。かなりハードなトレーニングだったが、足裏に痛みはなく最後まで練習に付いていけた。」との報告。
初診から2ヶ月、患者が治したい期日であった2月に入る。
先日、高校生とのトレーニングがあり1日練習だったそうであるが、足裏の痛みはなく思い切り走る事が出来たようである。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、足指アライメント調整、腸腰筋調整、アキレス腱調整
18診目
患者から「毎日、自主トレで走っているが、足は全く問題ない。何本走っても痛みや腫れは現れない。」との報告。
今まで患者は練習のアップの時点で痛みが出ていたようだが、最近は毎日走っても痛みは出ていないとのこと。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
足関節アライメント調整、足指アライメント調整、腸脛靭帯調整、殿筋調整、アキレス腱調整
患者に次回から3週に1度にメンテナンス期に移行する旨を伝える。
「患者さんの口コミ・感想」
Q1、どのような症状でお困りでしたか?
またお困りの症状を治すために、今までどのような治療を受けてこられましたか?
足の裏の痛みがありました。
くつのソールを作ったりしていました。
Q2、鍼灸治療など、当院来院にあたって心配はなかったですか?
またその心配はどうやって解消しましたか?
友達が行っていたので、大丈夫でした。
Q3、当院の施術を受けたときの印象・感想を教えてください。
すごくいたいですが、終わったらが体がかるくなっていたりと、すぐに変化を感じることができました。
Q4、症状が改善した現在想いをメッセージ下さい。担当が最高に喜びます!
いままで、だましだましやってきたけれど、今はのびのび楽しく走れるので、最高にうれしいです。
いろいろ学ぶこともあったので、良かったです。
今シーズン10秒6台を出せそうです。
お名前:松浦大悟
ご住所:京都府精華町
ご年齢:15
ご職業:中学3年
「担当からの考察」
今回の患者さんである松浦くんの場合、2年以上も足底筋膜炎の症状に悩み、色んな治療をしたにもかかわらず、症状が改善しない状態でした。
練習のアップの時点で痛みが出てしまうので、この2年はほとんど走る練習が出来なかったそうです。
しかしそんな状態でも松浦くんは陸上競技において、とても稀有な才能を持っていたので、全国大会やジュニアオリンピックにも出場しました。
ただ、両足に足底筋膜炎を抱えた状態での出場だったので、自分の全力は出す事が出来なかったようでした。
そんな松浦くんですが、現在は高校生たちと一緒のメニューをこなしても痛みは全くない状態にまで回復ました。
伸び伸びと走ることが出来ているようで、松浦くんはとても嬉しそうです。
今シーズンは100m10秒6台を出せるそうなので、私はとても期待しています!(*^▽^*)
松浦くん、今後の活躍を期待してるね!
それでは、治療の考察に移ります。
病院で足底筋膜炎と診断された場合、病院で処置される方法としてはインソールや湿布、痛み止め注射などでしょう。
あと、安静と休息も医師から指示されると思います。
整骨院なのでは、概ね脛(すね)やふくらはぎのマッサージ、ストレッチ、テーピングなどが施される事が多いです。
ずばり言うと、足底筋膜炎はしっかりとした治療法というものが確立されていないのです。
松浦君も上記に書いている治療をほとんどしたそうですが、効果は一切見られませんでした。
人によってどの治療が効果あるかはマチマチで、人によっては全く効かないものもあります。
ここでひとつ言える事は『人によって原因が違うものを、単純な処置で取りきることは難しい』ということです。
足底筋膜炎といっても、人によって発症の原因が違う場合が多く、その原因を見つけて処置することが大事なんです。
松浦くんが色んな治療をしても良くならなかったのは、治療する場所が間違っていたからです。
松浦くんの足底筋膜炎の原因は『足指の可動域の悪さ』にありました。
足指とは、足の重心を安定させたり、歩く時や走る時の滑らかな重心移動に必要なものです。
特に親指と小指は、踵と共に足を支える三角形の二つの頂点に位置し、重心の制御に大きく関係しています。
松浦くんの場合、その二つの頂点があまり機能しておらず、重心が踵や足底にばかり乗っている状態でした。
そうすると足底に負荷がかかり、写真のように足裏がパンパンに腫れてしまっていたのです。
こんな場合、アキレス腱や脛をマッサージしても良くならないですし、インソールを作っても意味がありません。
このように、症状の原因さえ突き止める事が出来れば、2年間も改善しなかった足底筋膜炎がわずか2ヶ月で完治に至るのです。
最後に、
松浦くんのように、どこに行っても良くならなかった人こそ「何とか治してあげたい!」という強い想いを持って、私が日々治療にあたっていることをみなさんに知っておいていただきたいです。