症状改善報告
変形性膝関節症の診断後4年間あらゆる治療も効果なかった60代女性が、4か月後にはスポーツ復帰に至った理由
- 変形性膝関節症
症例報告
Top Member丸山
「患者」
女性、主婦、63歳
「症状」
変形性膝関節症
「来院日」
平成29年9月下旬
「来院経緯」
患者は5年前から太極拳を習う。
発症は4年前。
太極拳の練習中、屈伸をした際に膝の力がガクッと抜ける感覚があった。
患者は練習を中断し、入念なストレッチを行った。
ストレッチをしたおかげか、その後の練習で膝の力が抜ける感覚はなかった。
しかし翌週の太極拳中、膝の力が抜ける感覚に加えてズキッとした痛みを膝に感じた。
患者はストレッチを行ったが膝の痛みは消失せず、痛みを我慢して太極拳を続けた。
練習後は歩く度に膝に重ダルさを感じた。
膝の痛みは練習をするたびに現れたが、1か月後に太極拳の段級試験があるため患者は無理をして練習を続けた。
1か月後、太極拳の段級試験中に膝に電気が走ったような痛みを感じた。
試験後は膝の痛みで歩くことも出来なくなり、膝裏がパンパンに腫れ上がっていた。
翌日、整形外科を受診。
レントゲンを撮影したところ、医師から『変形性膝関節症』と診断。
膝に水が溜まっているようで、水を抜く必要があるとのこと。
加えて膝へのヒアルロン酸注射をする必要があり、週に1度の注入を5週連続行うことを勧められる。
患者は同意し、整形外科に通院することにした。
5週連続でヒアルロン酸を注入したことで、膝の痛みは軽減し膝裏の腫れもなくなった。
しかし太極拳の練習を再開したところ、膝の痛みが再発。
膝に水がたまり、膝裏も腫れが見られた。
それから患者は、整形外科での治療以外にも整骨院や整体など複数の治療院を転々とする。
鍼灸・カイロプラクティック・整体・電気治療・リハビリといった様々な治療を受け、良いと評判の治療院は遠方でも通院した。
4年間で計6か所の治療院に通ったが、膝の痛みは解消されなかった。
この間も症状はますます進行し、日常生活で痛みを感じない時はない程にまで悪化。
患者は「このままでは歩けなくなってしまうのではないか。」と危惧。
そんな折、同じ太極拳のクラスに通う友人が、奈良の治療院で膝の痛みがなくなったという話を聞く。
患者はその口コミを聞き、当院に来院することを決意。
治療経過
1診目
現在、患者は睡眠時や座位でも痛みがあるとのこと。
特に階段の昇り降りで膝の痛みが増し、小走りが出来ない状態である。
無理して走ろうとすると、膝の力が抜けて転んでしまいそうになるようだ。
膝の痛みをきっかけに眠りにくくなり、この数年は不眠に悩んでいるとのこと。
触診と検査を行う。
右膝に明らかな変形は見られないものの、健側の左膝と比べると多少変形が進んでいることが分かった。
写真の赤〇に熱感と疼痛を訴えており、圧痛も確認できた。
膝裏を触診すると、腫脹を確認。
問診と触診から『変形性膝関節症』と判断。
変形性膝関節症の好発部位は膝の内側にある場合が多い。
しかし私の経験上、好発部位以外の箇所にも痛みを訴えるケースは多々あり、患者も同様であると考えられる。
患者から「痛みを感じずに太極拳がしたい」との要望。
患者の要望に応えられることは可能であるが、発症期間が4年にも及ぶため短期間での完治は困難であると推測。
最低でも3ヶ月~半年以上の治療期間は必要であり、初めの2ヶ月は週に2回のペースで来院して欲しい旨を説明し、患者の同意を得る。
簡単に痛みの変化を出す事が出来ない疾患であることから、治療後の痛みの確認は行わない。
施術室内で再現できる一番強い痛みは、膝の屈伸であるので、この時の痛みをペインスケール「10」と設定し、治療開始。
(ペインスケールとは痛みを10段階で表わした指標のこと。10に近づくにつれ痛みが増す。患者に数字を示させる。)
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、腸腰筋弛緩調整、下肢血流調整、足関節・股関節アライメント調整
次回は4日以内に来院するように指示し1診目施術終了。
2診目
前回から4日後の来院。
患者から「膝の痛みに変化はない。治療後に身体が少しダルくなった。」との報告。
ペインスケール「10」のまま維持。
熱感・圧痛ともに確認できる。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、腸腰筋弛緩調整、下腿血流調整、足関節・股関節アライメント調整
次回も4日以内に来院するように指示し2診目施術終了。
5診目
患者から「安静時での痛みが少なくなった気がする。でも歩く時の痛みはまだとれない。」との報告。
患者は今まで睡眠時や座位でも膝に痛みがあったが、最近はそれが和らいできているとのこと。
膝を触診したところ、熱感が少なくなっているのが確認できた。
ペインスケール「10」のまま維持。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、腸腰筋弛緩調整、下腿内旋変位調整、足関節・股関節アライメント調整
次回も4日以内に来院するように指示し、治療終了。
8診目
患者から「安静時での痛みがなくなった。だんだんと歩きやすくなってきた。」との報告。
膝の熱感が消失し炎症がなくなった事で、睡眠時・座位での痛みがなくなった。
待合室から治療室への歩行を観察すると、以前にくらべ歩くスピードが上がっていることに気付く。
ペインスケール「8」に減少。
熱感なし、圧痛あり。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、腸腰筋弛緩調整、下腿内旋変位調整、足関節・股関節アライメント調整
次回も4日以内に来院するように指示し、治療終了。
11診目
患者から「最近はだいぶ歩きやすくなってきた。階段の昇り降りで痛みはあるものの、だんだんと改善しているのが分かる。」との報告。
来院から2ヶ月経過。
今まで日常生活で制限されていた動作が出来るようになってきたようで、生活がしやすくなってきているようだ。
加えて、安静時の痛みがなくなったことで、今まで悩んでいた不眠の症状が改善してきているとのこと。
ペインスケール「5」に減少。
圧痛あり。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、自律神経調整、殿筋弛緩調整、腸脛靭帯弛緩調整、足関節アライメント調整
次回も4日以内に来院するように指示し、治療終了。
15診目
患者から「調子良い、歩く時に痛みはなくなった。階段の昇り降りはまだ痛みが出る。太極拳の練習を再開しようと思っている。」との報告。
日常生活で痛みの出る頻度が減少。
歩行時の痛みは消失したが、階段や膝を屈伸した時に痛みが少し出るとのこと。
不眠も解消されたようだ。
ペインスケール「3」
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、自律神経調整、殿筋弛緩調整、アキレス腱弛緩調整、足関節アライメント調整
次回までに太極拳の練習を再開するとの事なので、患者には太極拳中にどのような動作で痛みが出るかを確認するように指示。
次回は1週間後に来院するよう伝え、治療終了。
19診目
患者から「日常生活で感じる痛みがだいぶ解消されてきた。太極拳の練習を再開したが、練習後に多少膝がダルくなる程度であった。」との報告。
最近、患者は太極拳の練習を週に2回行っているとのこと。
今まで練習後は膝裏がパンパンに腫れてしまっていたようだが、現在はそれがないという。
ペインスケール「2」
膝の圧痛が消失。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、自律神経調整、殿筋弛緩調整、アキレス腱弛緩調整、足関節・股関節アライメント調整
次回も1週間後に来院するように指示し、治療終了。
22診目
患者から「階段での膝の痛みが感じなくなった。日常生活で小走りをするのが怖くなくなった。」との報告。
今まで患者は点滅した信号を走って渡る事が膝を庇って出来なかったようだが、最近は小走りや走ったりすることに戸惑いがなくなったとのこと。
ペインスケール「0」に減少。
施術室内で再現できるすべての痛みが消失。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、自律神経調整、腹膜調整、下腿三頭筋弛緩調整、足関節アライメント調整
次回から2週間に1回の頻度で来院するように指示し、治療終了。
25診目
患者から「健康だったときのように、痛みを感じずに生活出来るようになっている。太極拳の練習の後も膝の痛みは感じない。調子が良いので来月から仕事を始める予定である。」との報告。
来院から約4ヶ月が経過。
日常生活で膝の痛みは感じないとのこと。
ペインスケール「0」のまま維持。
圧痛・熱感ともに確認できない。
治療:
曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整
内臓調整、自律神経調整、腹膜調整、下腿三頭筋弛緩調整、足関節アライメント調整
次回から1ヶ月に1回のメンテナンス期に移行する旨を伝え、治療終了。
「患者さんの口コミ・感想」
Q1、どのような症状でお困りでしたか?
またお困りの症状を治すために、今までどのような治療を受けてこられましたか?
膝が痛い
整形外科、他の整骨院など受診
Q2、鍼灸治療など、当院来院にあたって心配はなかったですか?
またその心配はどうやって解消しましたか?
特に心配はなかった
Q3、当院の施術を受けたときの印象・感想を教えてください。
初めの頃の施術はとても痛かったのが、回数を重ねるにつれ体が変化する感じがあった。
Q4、症状が改善した現在の想いをメッセージ下さい。担当が最高に喜びます!
ここでの施術前は「治らないのかも」とか、不眠もあったので精神的にも落ち込むことがあったが、自分の不調を訴える場になっていただけて気持ちもすごく楽になりました。感謝しています。
またかけこむ事があるかもしれませんがその時はよろしく、ありがとうございました。
お名前:T・T
ご住所:斑鳩町
ご年齢:63
ご職業:主婦
「担当からの考察」
今回の患者さんであるT・Tさんは、4年以上も膝の痛みに悩まされていました。
整形外科や整体、接骨院など計6か所の治療院を回っても、痛みは解消されず、趣味の太極拳はおろか日常生活にさえ支障が出るほど悪化してしまいました。
そんなT・Tさんは今では太極拳を週2で行っても痛みはなく、「仕事を再び始めてみよう!」と思える程に症状は改善しました。
T・Tさんから「太極拳が楽しく出来ていますよ( ^^) 」と楽しそうにお話されている様子を見て、「あぁ、治してあげられて本当に良かったな~」と心の底から思いました。
T・Tさん、これからはお仕事頑張ってください(^^)
それでは治療の考察に移ります。
今回のT・Tさんは『変形性膝関節症』でした。
しかし一般的に言われる変形性膝関節症の方が訴えられる痛みの場所と、T・Tさんが訴えた痛みの場所は異なっていました。
写真の緑〇が変形性膝関節症の好発部位になります。
しかし好発部位というだけで、T・Tさんのように違う部位にも痛みを訴える方は結構いらっしゃいます。
変形性膝関節症の方の場合、まず重要なのは膝に熱感(炎症)があるかどうか。
熱感(炎症)がある場合は、まずそれをとる事が必要になってきます。
熱感を取らないことには、いくら患部の微調整を行ったとしても痛みはなくなりません。
T・Tさんには安静時の疼痛があり、それは炎症によるものでした。
8診目まで炎症をとる調整を丁寧に行い、炎症がなくなると共に安静時の痛みが治まっていきました。
あとは、患部の微調整と足関節、股関節の捻じれを解消し、運動しても痛みが出ないように調整を繰り返しました。
4年にも及ぶ膝の痛みは約4ヶ月の期間で消失し、T・Tさんは仕事復もすることができました。
短期間で完治に至った大きな理由としては、T・Tさんが私の指示通りに治療間隔を詰めてきてくれたことです。
私も1・2回の治療で治して差し上げたいのはやまやまですが、それは難しいです。
症状が重度なほど何回も通っていただく必要があります。
はっきり言うと、通院することが出来ないなら治すことは出来ません。
治療には、私の力だけでなく患者さんの協力も必要になることを知っておいていただきたいです。
最後に、
どこに行っても良くならなかった人こそ「何とかしてあげたい!」という強い想いを持って、私が日々治療に励んでいることを皆さんに知っておいていただきたいです。
外から触って病院では水を抜いたり、ヒアルロン酸注射を行うのが一般的です。
今回もまさにその
T・Tさんは屈伸や歩行時・階段など膝を曲げ伸ばしした際に痛みを訴えていました。