疾患別症状改善報告

REPORT

症状改善報告

3ヶ月以上治らない腸脛靭帯炎(ランナー膝)が5回で完治する2つの理由

  • 変形性膝関節症

症例報告

Top member丸山

「患者」

20代、男性

「症状」

膝関節痛

「来院日」

平成29年 12月上旬

「来院経緯」

患者は学生時代からトライアスロン競技に打ち込んでいる。

 

発症は3ヶ月前。

患者は日課のジョギングを終えた後、ストレッチをしている時に右膝にチクチクとした痛みを感じた。

右膝周囲の筋肉を自分でマッサージしたところ、痛みは消失。

痛みがすぐに引いたことから、患者は特に気にもとめなかった。

 

しかし、翌日のジョギング後も膝に同じ痛みを感じる。

痛みは我慢できない程のものではなく、チクチクと針で刺されるような痛みであった。

運動後にだけ痛みが現れる状態が約2週間続く。

 

ある日、いつもより早いスピードでジョギングをした際、右膝にズキッとした激痛が走った。

患者はすぐにジョギングを中止、家までゆっくりと歩いて帰ったが膝の激痛のため足を引きずるようにして帰った。

自宅でアイシングやマッサージ、ストレッチを行う。

そのかいって、その日の午後には膝の痛みは消失。

 

翌日、患者は近所の整骨院を受診。

治療者から「腸脛靭帯炎の可能性がある。」と伝えられ、整体やマッサージを施された。

 

その後、ジョギングを開始したところ膝に痛みは感じなかった。

しかし2㎞を超えた頃、右膝の痛みが再発。

これ以上は痛みで走れなくなったので、ジョギングを中止。

 

その日以降、長距離のジョギングは全く出来なくなる。

走れたとしても3㎞程度で、走った後は歩くこともままならない程の激痛に襲われる。

その痛みは翌日まで続き、痛みが引くまで時間がかかった。

 

発症から3ヶ月が経過。

症状は一向に良くならず、この2ヶ月は全く運動が出来ていない状態であった。

この間も整骨院に通院し継続的に治療を行い、自身でマッサージやストレッチをしていたが改善は見られなかった。

 

患者は1ヶ月後にトライアスロンの大会を控えており、本来であれば競技の練習が佳境の時である。

しかし現状は練習が全くできない状態であり、出場も断念するしかないと諦めかけていた時、ご両親の友人から当院の噂を耳にする。

その方も同じく膝痛を持っていたが当院で完治した経緯を知り、藁にもすがる思いで当院に来院することを決意。

 

「治療経過」

1診目

現在、患者は2、3㎞で膝に痛みが出てくるとのこと。

スピードを上げて走ると1㎞ももたず痛みが現れる。

 

はじめのうちは痛みが現れないが、だんだんとズキズキとした痛みが現れ、最後は歩くこともできない程の激痛が右膝に走ってしまうそう。

最近はほとんど走っておらず、たまに様子を見て走ってみるが、やはり右膝に痛みが出てしまうとのこと。

1ヶ月後にトライアスロンの大会があり練習期間などを考えると、患者は出来るだけ短期間で完治させたいとの要望。

 

まず患部を触診する。

患部の周辺を触ったところ、熱感なし。

圧痛も確認できなかった。

しかし、患部周辺の筋肉が健側と比べると異常に緊張していることが分かった。

 

施術室内で疼痛の再現を試みたが、走っている最中しか痛みが出ないようで、施術室内では右膝に痛みを全く感じないとのこと。

 

問診・触診と疼痛の発生機序から『腸脛靭帯炎(ランナー膝)』と判断。

今までの私の経験から完治は可能であると判断。

しかし治療期間については、現段階では推測は出来ない。

その理由として、治療室内で痛みが再現できない場合、施術後に痛みの改善が確認できないため、治療結果をその場で確認できないからである。

まず1回治療を行い治療後に運動した結果、どれくらい痛みが改善されるかで治療期間を推測することにした。

患者にはそのことを説明し、治療を開始。

 

治療:

曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

下腿内旋変位調整、腸腰筋弛緩調整、腹部弛緩調整

 

施術室内での痛みが再現できないため、治療後の確認は行わない。

次回は5日以内に来院するように指示、1診目施術終了。

2診目

前回から5日後の来院。

患者から「今まで2、3㎞で右膝に痛みが出ていたが、治療後に走ってみたところ7、8㎞も走れた。走った後も足を引きずる程の痛みがあったのが、今回は全くなかった。」との報告。

 

患者によると7、8㎞を超えたあたりから、右大腿部の筋肉が硬くなってくるような違和感があったため走るのを中断したという。

しかし痛みはほとんど感じずに走れたようで、走った後も痛みを引きずるようなことは全くなかったという。

 

1回の治療だけで大きな改善が見られたことから、治療期間を詰めて施術を行えば、1か月後のトライアスロン大会に間に合うと推測。

今回も前回同様の治療も行いつつ、治りをもっと早くするために身体全体の調整も行っていくことにする。

 

治療:

曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

背部兪穴にお灸し、内臓調整

下腿内旋変位調整、腸腰筋弛緩調整、腹部弛緩調整、アキレス腱調整

 

今回も治療後の確認は行わない。

次回も5日以内に来院するように指示し、2診目施術終了。

 

3診目

前回から1週間後の来院。

患者から「毎日10㎞走れている。こんなに走れているのは久しぶりなので、とても嬉しい。ただ、走った後に右膝に違和感がある。痛みではないが、筋肉が引きつっているような感覚である。」との報告。

 

前回、患者が訴えていた『走っている最中に膝周辺の筋肉が硬くなってくるような違和感』は消失したとのこと。

しかし今回は走った直後に筋肉が引きつるような違和感が毎回あったとのこと。

 

患部を触診する。

初診時に見られた大腿部の緊張は消失していた。

今までは走った直後は右膝の外側すべてに痛みが出ていたようだが、現在は写真の×部分に引きつるような違和感しかないとのこと。

 

治療:

曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

背部兪穴にお灸し、内臓調整

下腿内旋変位調整、腸腰筋弛緩調整、腹部弛緩調整、アキレス腱調整

 

次回も5日以内に来院するように指示し、3診目施術終了。

4診目

前回から2日後の来院。

患者から「治療後に走ってみたが、膝の周囲に引きつるような違和感はなかった。今はほとんど前のように走れている」との報告。

 

前回の治療後から一段と改善したようで、今はほぼ前のように走れているとのこと。

後は走った後に左右の足を触ると、右足の方が緊張しているのが気になるという。

 

治療:

曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

背部兪穴にお灸し、内臓調整

下腿内旋変位調整、腸腰筋弛緩調整、腹部弛緩調整、アキレス腱弛緩調整、腸脛靭帯指圧

 

治療後、健側と患側を触診したところ左右の筋肉の緊張に違いは見られなかった。

現段階では走っても痛みは全くないとのことなので、次回は10日後に来院するように指示し、4診目施術終了。

5診目

前回から10日後の来院。

患者から「膝の痛みや違和感は全くない。ほとんど毎日10㎞を走っていたが、全然問題なかった。」との報告。

 

治療:

曲池・合谷に接触鍼、百会に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

背部兪穴にお灸し、内臓調整

下腿内旋変位調整、腸腰筋弛緩調整、腹部弛緩調整、アキレス腱調整、腸脛靭帯指圧

 

今回で腸脛靭帯炎の症状を完治とみなし、次回から1ヶ月に1回のメンテナンス期に移行する旨を患者に伝え、5診目施術終了。

「患者さんの口コミ・感想」

Q1、どのような症状でお困りでしたか?

またお困りの症状を治すために、今までどのような治療を受けてこられましたか?

膝が痛く、走れなかった。

違う接骨院に行ったり、自分でマッサージしたりした。

Q2、鍼灸治療など、当院来院にあたって心配はなかったですか?

またその心配はどうやって解消しましたか?

特になかったです。

Q3、当院の施術を受けたときの印象・感想を教えてください。

患部と全然違う場所への治療で心配でしたが、1回目から効果を感じられて驚きでした。

Q4、症状が改善した現在の想いをメッセージ下さい。担当が最高に喜びます!

約2ヶ月間自分の思い通りに動かすことが出来なかったのですが、半月程で治っていって動かせるようになりました。怪我が治ったので、またこれから頑張ろうと思います。ありがとうございました!

 

お名前:T・T

「担当からの考察」

今回の患者さんであるT・Tさんの場合、トライアスロンに打ち込んでいるにもかかわらず、2ヶ月以上もまともに走れない状況での来院でした。

はじめは施術室内で痛みが再現できなかったため、治療期間の予測が立たないことを伝えた時、T・Tさんは少し不安そうでしたが、2診目に来院された時は症状が大幅に改善していたこともあり表情がとても和らいでいました。

 

T・Tさんの症状は重度で3ヶ月前から発症していたため、私の予想では1ヶ月以上かかるかなと踏んでいたのですが、実際は5診目(半月ほど)で完治しました。

腸脛靭帯炎でここまで治りが早い人は初めてみたので、私も驚きでした。

現在はトレーニングのため10㎞を毎日走っているそうですが、再発は全くないそうです。

それにしても毎日10㎞走るってとんでもないですね(*_*;

私には一生無理そうです^^

 

それでは治療の考察ですが、

今回の治療について正直に言うと、すごく挑戦的な事を行いました。

というのも腸脛靭帯炎(ランナー膝)は病院にかかれば、まず第一声に「走るのは中止しなさい」と言われるような疾患です。

安静にしていることが一番の治療だと考えられているからです。

 

その腸脛靭帯炎を患っているT・Tさんに、治療後まずは走ってみて下さいと伝えました。

1ヶ月後に大会を控えている身で、今回のランでさらに痛みを強くしてしまう恐れがありましたが、短期間で治すためには治療効果を知る必要があったので、この選択をしました。

 

そして治療方法についても短期間で完治させるために、これまた挑戦的な治療を行いました。

ネットで腸脛靭帯炎について調べると、患部のストレッチやマッサージを行うことが推奨されています。

しかしT・Tさんは今までこれをずっと行ってきたにもかかわらず、一切効果がありませんでした。

 

今までの私の経験から陸上やバスケ、たくさん走る競技をされている方の腹部の”ある箇所”が硬くなっている事がよくあります。

この人たちの特徴として、足に痛みが出やすいことが多いです。

T・Tさんの場合も腹部を触診したところ、この箇所が硬くなっているのが確認できました。

 

本当は患部周辺や臀部などを主に施術する予定でしたが、患部はほとんど触らずに腹部を中心に治療を施しました。

その判断が功を奏し、短期間での完治に至ったのです。

T・Tさんの感想にも「患部と全然違う場所への治療で心配でしたが、1回目から効果を感じられました。」とあったように、患部を触らないと治療に加え、運動の中止を言い渡さなかったのが今回の結果に繋がったと思います。

今回の症例は私にとってとても良い経験になりましたし、何より今回の事で治療の幅が広くなったように思います。

この経験を活かし、今まで長期間の治療が必要だった疾患をもっと短期間で治していきたいと思います。

 

最後に、

どこに行っても良くならなかった人こそ何とかしたい!という強い想いを持って私が日々治療にあたっていることをみなさんに知っておいて頂きたいです。

治療担当 丸山

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